AGA治療を始めて間もない時期に起こる「初期脱毛」。シャンプー時や枕元に増えた抜け毛を見ると、ショックを受けたり、治療への不安を感じたりするのは当然のことです。しかし、この初期脱毛は、必ずしも悪い兆候ではなく、むしろ「治療が効き始めているサイン」である可能性が高いのです。その理由を理解すれば、少し前向きな気持ちでこの時期を乗り越えられるかもしれません。初期脱毛が起こる主なメカニズムは、ヘアサイクルの改善にあります。AGAが進行している状態では、多くの毛包で髪の成長期が短縮され、休止期にとどまっている毛が多くなっています。ミノキシジルのような発毛を促す治療薬は、これらの休止期にある毛包に働きかけ、新たな成長期へと移行させます。新しい髪の毛が毛根で成長を始めると、その上にあった古い髪の毛(すでに成長を終え、抜ける準備に入っていた毛)は、自然に押し出されて抜け落ちます。これが初期脱毛として現れるのです。つまり、抜け毛が増えているように見えるのは、頭皮の下で新しい髪が育ち始めている証拠、治療薬が毛包に働きかけ、ヘアサイクルを正常な方向へと動かし始めている証拠と解釈できるわけです。古い葉が落ちて新しい芽が出るように、髪の毛も世代交代をしているのです。この視点を持つと、初期脱毛に対する見方が少し変わるのではないでしょうか。もちろん、抜け毛が増えること自体は気分の良いものではありません。しかし、それが未来の健康な髪への準備段階であると理解できれば、不安も少し和らぐはずです。ただし、注意点もあります。初期脱毛ではない、他の原因による抜け毛増加の可能性もゼロではありません。例えば、薬剤が頭皮に合わず炎症を起こしている場合や、他の病気が隠れている場合などです。もし、抜け毛の増加とともに、強いかゆみや赤み、痛みなどの症状が現れた場合や、初期脱毛とされる期間(通常1~3ヶ月程度)を過ぎても抜け毛が収まらない場合は、自己判断せず、必ず医師に相談するようにしましょう。基本的には、初期脱毛は効果の兆しと捉え、焦らず治療を継続することが大切です。
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