男性型脱毛症（ＡＧＡ）は進行性の疾患であり、気づかないうちに症状が進んでしまうことも少なくありません。しかし、多くの場合、本格的な薄毛が目立つようになる前に、いくつかの初期サインが現れます。これらのサインを見逃さず、早期に認識することが、効果的な対策を始めるための鍵となります。では、ＡＧＡ発症の初期サインとして、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。最も分かりやすいサインの一つが「抜け毛の変化」です。シャンプー時や朝起きた時の枕、ブラッシングの際などに、以前よりも抜け毛の本数が増えたと感じるかもしれません。ただし、抜け毛の本数には季節変動などもあるため、本数だけでなく「抜け毛の質」に注目することがより重要です。ＡＧＡが進行すると、髪の成長期が短くなるため、細くて短い、弱々しい毛（軟毛）が抜け毛の中に増えてきます。太くてしっかりした毛だけでなく、このような質の悪い抜け毛が目立つようになったら要注意です。次に、「髪質の変化」も重要なサインです。以前はハリやコシがあった髪が、全体的に細く柔らかくなってきた、ボリュームがなくなった、スタイリングがしにくくなった、と感じる場合もＡＧＡの初期症状の可能性があります。これは、毛包が男性ホルモン（ＤＨＴ）の影響を受け、髪が十分に成長できなくなっている（軟毛化）兆候です。また、「生え際や頭頂部の変化」も確認しましょう。額の生え際が以前より後退してきた、特に左右の剃り込み部分が深くなってきた（Ｍ字型）、あるいは頭頂部（つむじ周辺）の地肌が透けて見えるようになってきた（Ｏ字型）といった変化は、ＡＧＡの典型的なパターンです。鏡で注意深く観察したり、以前の写真と比較したりすると、変化に気づきやすいかもしれません。自分では見えにくい頭頂部は、合わせ鏡やスマートフォンのカメラなどで確認してみましょう。これらの初期サインは、一つだけでなく、複数現れることもあります。もし、これらの変化に心当たりがある場合は、「まだ大丈夫だろう」「気のせいだろう」と自己判断せず、ＡＧＡの可能性を疑ってみることが大切です。早期にサインを捉え、専門医に相談することで、進行を効果的に抑制できる可能性が高まります。日頃から自分の髪や頭皮の状態に関心を持ち、変化を見逃さないようにしましょう。