男性型脱毛症(AGA)は、世界中の多くの男性が抱える悩みですが、その発症率には人種によって差があることが知られています。日本人男性の発症率が約30%であるのに対し、他の国や地域ではどのような状況なのでしょうか。世界的な視点からAGAの発症割合を見てみると、興味深い違いが見えてきます。一般的に、AGAの発症率は、白色人種(コーカソイド)で最も高く、次いで黄色人種(モンゴロイド)、黒色人種(ネグロイド)の順に低くなると言われています。例えば、欧米の白色人種の男性では、50歳時点でのAGA発症率が50%を超えるという報告もあり、日本人男性の割合(40代で約30%、50代以降で40%以上)と比較しても、かなり高い傾向にあることが分かります。特に北欧などの地域では、さらに高い発症率を示すというデータもあります。一方、アフリカ系の黒色人種や、アジアの中でも東南アジアなどの地域では、白色人種や日本人を含む東アジア系のモンゴロイドと比較して、AGAの発症率は低い傾向にあるとされています。なぜこのような人種差が生じるのでしょうか。その理由は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が考えられています。最も大きな要因は「遺伝的背景の違い」です。AGAの発症には、男性ホルモン(DHT)を生成する5αリダクターゼの活性や、DHTを受け取るアンドロゲン受容体の感受性が関わっていますが、これらの遺伝子には人種間で違いがあることが分かっています。例えば、アンドロゲン受容体遺伝子の特定のタイプは、AGAのリスクを高めるとされていますが、そのタイプの保有率が人種によって異なることが報告されています。また、生活習慣や食文化の違いも、間接的に影響している可能性が考えられます。欧米型の食事(高脂肪・高カロリーなど)がホルモンバランスに影響を与える可能性や、紫外線量の違い、文化的なストレスの違いなどが、複合的に関与しているのかもしれません。日本人男性のAGA発症率は、世界的に見ると中程度からやや高いレベルにあると言えるかもしれません。しかし、人種に関わらず、AGAは多くの男性にとって共通の悩みであることに変わりはありません。世界的なデータを知ることは、AGAという現象をより広い視点で捉え、理解を深める一助となるでしょう。
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