40代を過ぎた頃からだろうか、ふと鏡を見ると、こめかみのあたりに白いものがチラホラと目立ち始めた。最初は数本だったので抜いていたのだが、気づけば抜くのが追いつかないほどに増えていた。まあ、年齢的に仕方ないか、と白髪染めをするようになった。しかし、悩みはそれだけではなかった。同時期くらいから、髪全体のボリュームが減ってきたような気がしていたのだ。特に、シャンプー後の排水溝に溜まる抜け毛の量が増え、ドライヤーで髪を乾かすと、以前より頭頂部の地肌が透けて見える。白髪と薄毛、ダブルのパンチだ。正直、かなり落ち込んだ。白髪染めをしても、髪のボリュームが少ないとなんだか貧相に見えるし、かといって薄毛対策の薬を使うのも副作用が怖い。どうしたものかと、しばらくは見て見ぬふりをしていた。しかし、ある日、妻に「最近、ため息が多いよ。髪のこと、そんなに悩んでるなら、何かしてみたら?」と言われ、ハッとした。悩んでいても何も変わらない。まずは現状を受け入れて、できることをやってみよう、と。最初に始めたのは、生活習慣の見直しだ。夜更かしをやめて睡眠時間を確保し、食事もインスタント食品を減らして、野菜やタンパク質を意識して摂るようにした。ストレス解消のために、週末には軽いジョギングも始めた。次に、白髪染めの方法を見直した。頻繁に自分で染めていたが、頭皮への負担を考え、美容室で相談することにした。美容師さんは、頭皮に優しいカラー剤を選んでくれ、伸びてきても目立ちにくいようなカラーリングを提案してくれた。さらに、薄毛対策として、頭皮に優しい育毛シャンプーに変え、毎晩、頭皮マッサージをする習慣をつけた。すぐに劇的な変化があったわけではない。白髪が黒くなるわけでも、髪がフサフサになるわけでもない。でも、続けていくうちに、頭皮の状態が良くなったのを感じた。以前のようなかゆみやフケがなくなり、抜け毛の量も少し落ち着いたように思う。そして何より、自分の体や髪ときちんと向き合い、ケアをしているという事実が、私に少しの自信を与えてくれた。白髪も薄毛も、完全になくなることはないかもしれない。でも、以前のように深刻に悩むことはなくなった。これも自分の一部なんだと受け入れ、できる範囲でケアをしながら、上手に付き合っていこうと思えるようになった。
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