自分自身は妊娠中・授乳中ではないけれど、夫（パートナー）が薄毛治療のためにミノキシジルを使用している、というケースもあるでしょう。その場合、夫の使用が妊娠や胎児に何か影響を与えるのではないか、と心配になるかもしれません。パートナーがミノキシジルを使用している場合の妊娠への影響について、現在の知見を解説します。まず、男性がミノキシジル外用薬（塗り薬）を使用している場合についてです。外用薬の場合、有効成分の一部が頭皮から吸収され血中に移行しますが、その量は内服薬に比べて微量です。現在のところ、男性がミノキシジル外用薬を使用したことによって、精子に影響が出たり、それが原因で胎児に異常が生じたりするという明確な医学的根拠は報告されていません。したがって、夫がミノキシジル外用薬を使用していても、妊娠や胎児への直接的なリスクは極めて低いと考えられています。ただし、注意点が全くないわけではありません。夫が塗布したミノキシジルが、枕カバーやタオルなどを介して、あるいは直接的な接触によって、妊娠中の女性の皮膚に付着し、そこから吸収されてしまう可能性はゼロではありません。非常に微量であり、影響が出る可能性は低いと考えられますが、念のため、薬剤が塗布された部分に直接触れない、タオルなどを共有しない、といった配慮をするとより安心でしょう。次に、男性がミノキシジル内服薬を服用している場合です。内服薬は血中濃度が高くなるため、精液中への移行や精子への影響が懸念されることがあります。しかし、こちらも現時点では、男性のミノキシジル内服薬服用が、パートナーの妊娠や胎児の奇形リスクを有意に高めるという確固たるデータは示されていません。とはいえ、内服薬はより慎重な判断が求められます。もし夫がミノキシジル内服薬を服用中で、これから妊娠を計画している場合は、念のため処方医や産婦人科医に相談することをお勧めします。医師によっては、妊娠計画期間中の一時的な休薬を勧める場合もあるかもしれません。まとめると、夫がミノキシジルを使用していることによる妊娠・胎児への直接的なリスクは、現在のところ低いと考えられています。しかし、特に外用薬の場合は間接的な接触に注意し、内服薬の場合は念のため医師に相談するなど、状況に応じて適切な対応をとることが望ましいでしょう。不安な点は、遠慮なく医師に確認することが大切です。