ジヒドロテストステロン(DHT)を抑えることが男性型脱毛症(AGA)に有効だと知り、インターネットなどで情報を集め、自分で対策を始めようと考える方もいるかもしれません。しかし、DHT抑制を目的とした行動を自己判断で行うことには、いくつかの危険性が伴います。まず、最も大きなリスクは「誤った診断」の可能性です。薄毛の原因はAGAだけではありません。円形脱毛症や脂漏性脱毛症、あるいは他の内科的疾患が原因である可能性もあります。もしAGAではないのに、自己判断でDHT抑制を目的とした医薬品(例えば、個人輸入したフィナステリドなど)を使用してしまうと、効果がないばかりか、予期せぬ副作用に見舞われる危険性があります。また、本来必要な別の治療を受ける機会を失い、症状が悪化してしまう可能性も否定できません。次に、「医薬品の不適切な使用」のリスクです。DHTを抑制するフィナステリドやデュタステリドは、医師の処方が必要な医療用医薬品です。これらを医師の診察なしに個人輸入などで入手し、自己判断で使用することは非常に危険です。用法・用量を誤ったり、自身の健康状態(肝機能など)を考慮せずに使用したりすると、重篤な副作用を引き起こす可能性があります。特に、性機能に関する副作用や肝機能障害などは、専門的な知識を持たない個人が管理できるものではありません。また、偽造薬や品質の劣る薬を入手してしまうリスクも伴います。さらに、「効果のない対策への時間とお金の浪費」もリスクと言えます。医学的根拠の乏しいサプリメントや民間療法に、「DHTを抑える」という謳い文句を信じて頼ってしまうと、効果がないまま時間とお金だけを費やし、その間にAGAが進行してしまう可能性があります。確実な効果を求めるのであれば、医学的に有効性が証明されている方法を選択すべきです。DHT抑制は、AGA治療の根幹ですが、それは専門的な知識と管理のもとで行われるべきアプローチです。薄毛の原因を正確に特定し、自分の状態に合った安全で効果的な治療法を選択するためには、必ず医師の診察を受けることが不可欠です。自己判断によるDHT抑制は避け、まずは専門医に相談することから始めましょう。