妊娠中や授乳中は、ホルモンバランスの変化などによって抜け毛が増えたり、髪質が変わったりして、薄毛が気になることがあります。しかし、この時期はミノキシジルのような薬剤を使用することはできません。では、薬剤に頼らずに、このデリケートな時期にできる安全な薄毛対策やセルフケアにはどのようなものがあるのでしょうか。まず基本となるのが、「生活習慣の見直し」です。健やかな髪を育むためには、体全体の健康が不可欠です。特に妊娠中・授乳中は、母体と赤ちゃんの健康のためにも、バランスの取れた食事が重要になります。髪の主成分であるタンパク質、髪の成長を助けるビタミンＢ群、ミネラル（特に鉄分や亜鉛）などを意識して摂取しましょう。特定の食品に偏らず、多様な食材を摂ることが大切です。また、「質の高い睡眠」も重要です。睡眠不足はホルモンバランスの乱れやストレスの原因となり、髪の健康にも影響します。妊娠中や産後は睡眠が不規則になりがちですが、できる範囲で休息を取り、リラックスできる時間を作るよう心がけましょう。「ストレス管理」も意識したいポイントです。妊娠・出産・育児は、喜びとともに大きなストレスも伴います。ストレスは血行不良などを招き、抜け毛の原因となることがあります。軽い運動（医師に相談の上）、趣味の時間、パートナーや家族との会話、深呼吸などで、上手にストレスを発散しましょう。次に、「頭皮ケア」です。妊娠中や産後は頭皮が敏感になっていることもあるため、刺激の少ないシャンプーを選ぶことが大切です。アミノ酸系などのマイルドな洗浄成分で、無添加（香料、着色料、パラベンフリーなど）のものを選ぶと安心です。洗髪時は爪を立てず、指の腹で優しく洗い、すすぎは十分に行います。頭皮マッサージも、血行促進やリラックス効果が期待できますが、強く擦りすぎないように注意しましょう。ただし、体調が不安定な時は無理に行わないでください。産後脱毛の場合は、多くが一過性のものであり、時間が経てば自然に回復することが多いです。過度に心配しすぎず、上記のセルフケアを続けながら、気長に回復を待つことも大切です。もし、抜け毛が異常に多い、長期間続く、あるいは他の体調不良も伴う場合は、皮膚科や産婦人科の医師に相談するようにしましょう。安全な範囲でできるケアを続け、心身ともに健やかに過ごすことが、この時期の髪の健康にも繋がります。