50歳を過ぎた頃からだろうか、自分の髪に明らかな変化を感じ始めたのは。若い頃はどちらかというと髪が多くて悩んでいたくらいなのに、いつの間にか頭頂部が薄くなり、いわゆる「てっぺんハゲ」が進行していることに気づいた。シャンプーの時の抜け毛も増え、朝、枕を見るのが少し怖くなった。最初は「年のせいだ」と自分に言い聞かせようとした。周りの同年代の友人たちも、多かれ少なかれ髪に変化はある。しかし、会社の若い部下たちと並ぶと、どうしても自分の薄毛が気になってしまい、自信が持てなくなっていくのを感じた。何とかしなければ、と思い、まずはインターネットで情報収集。育毛シャンプー、サプリメント、頭皮マッサージ…様々な情報があったが、どれも確信が持てない。そんな時、AGAという言葉を知り、専門クリニックの存在を知った。正直、クリニックに行くのは抵抗があった。「こんな年齢で、今さら…」という気持ちもあった。しかし、妻の後押しもあり、一度相談だけでもしてみようと、思い切って予約を入れた。クリニックでの診断は、予想通りAGAだった。医師は、私の進行度や治療法について丁寧に説明してくれた。内服薬と外用薬による治療が基本だが、副作用のリスクもあること、効果には個人差があること、そして治療は長く続ける必要があること。全てを理解した上で、治療を開始するかどうかを決めるように言われた。しばらく悩んだ。費用もかかるし、毎日の手間もある。副作用も怖い。でも、このまま悩み続けるよりは、やれるだけのことをやってみたい。そう思い、治療を開始することにした。毎日欠かさず薬を飲み、塗り薬を塗る。最初の数ヶ月は、ほとんど変化を感じなかった。「やっぱりダメか…」と諦めかけたこともあった。しかし、半年ほど経った頃、美容室で「あれ?〇〇さん、最近髪、しっかりしてきましたね」と言われたのだ。自分では気づきにくい変化だったのかもしれない。鏡でよく見ると、確かに以前より頭頂部の地肌の透け感が減っているような気がする。それから1年、2年と治療を続けるうちに、明らかに髪にボリュームが出てきた。髪の悩みが軽減されたことで、気持ちが前向きになり、自信を取り戻せたことが大きい。50代からでも、行動すれば変われる。諦めなくて本当に良かったと、心から思っている。