ここまで、男性型脱毛症(AGA)、びまん性脱毛症、円形脱毛症、脂漏性脱毛症、牽引性脱毛症、そして病気や薬剤などが原因となる脱毛症など、様々な「ハゲ」の種類とその特徴について見てきました。抜け毛や薄毛に悩んだとき、まず大切なのは、自分の症状がどのタイプに近いのかを冷静に見極めようとすることです。なぜなら、原因が異なれば、取るべき対策や有効な治療法も全く違ってくるからです。例えば、AGAであれば、進行を抑えるために内服薬や外用薬による治療が中心となります。円形脱毛症であれば、ステロイド療法や紫外線療法などが選択されます。脂漏性脱毛症なら、まず頭皮の炎症を抑える治療が必要です。牽引性脱毛症なら、原因となっている髪型をやめることが最優先です。このように、原因に応じた適切なアプローチをとることが、改善への近道となります。自分の脱毛タイプを見極めるためのヒントとしては、①いつから始まったか(急にか、徐々にか)、②どの部位が薄くなっているか(生え際、頭頂部、全体、円形など)、③抜け毛の質(細い毛が増えたか)、④頭皮の状態(かゆみ、フケ、赤みなどの有無)、⑤家族歴、⑥生活習慣や体調の変化、などを振り返ってみると良いでしょう。しかし、これらの情報だけで自己判断を下すのは危険です。症状が典型的でなかったり、複数の要因が絡み合っていたりすることも少なくありません。誤った自己判断に基づいて、効果のないケアを続けたり、逆に症状を悪化させてしまったりするリスクもあります。そこで重要になるのが、「専門家への相談」です。薄毛や脱毛症を専門とする医師(主に皮膚科医)は、詳しい問診、視診、そしてマイクロスコープなどを用いた頭皮や毛髪の詳細な観察を通じて、脱毛の原因を正確に診断してくれます。必要であれば、血液検査なども行い、他の病気の可能性も排除します。正確な診断に基づき、医師は個々の患者さんに合った最適な治療法やケアの方法を提案してくれます。治療のメリット・デメリット、期間や費用についても詳しく説明してくれるでしょう。一人で悩み続けるよりも、専門家の客観的な視点と的確なアドバイスを得る方が、はるかに効率的で安心です。もし、抜け毛や薄毛が気になるなら、まずは勇気を出して専門医の診察を受けてみましょう。それが、悩みを解決するための最も確実な第一歩となるはずです。
- 髪を縛るとなりやすい牽引性脱毛症
- AGA治療続けるための心の持ち方