最近、髪のボリュームが減ってきた、分け目が目立つようになった、抜け毛が増えた気がする。そんな女性特有の薄毛の悩みに、スピロノラクトンという薬が治療の選択肢として注目されています。スピロノラクトンは、本来、高血圧や心不全、むくみなどの治療に用いられる利尿薬(抗アルドステロン薬)です。それがなぜ、女性の薄毛治療に使われるのでしょうか。その理由は、スピロノラクトンが持つ「抗アンドロゲン作用」、つまり男性ホルモンの働きを抑える作用にあります。女性の体内でも、副腎や卵巣で男性ホルモン(アンドロゲン)が作られています。この男性ホルモンが、薄毛の原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、毛包に作用することで、髪の成長期が短縮されたり、髪が細くなったりして、薄毛を引き起こすと考えられています。これが、女性男性型脱毛症(FAGA)やびまん性脱毛症の一因とされるメカニズムです。スピロノラクトンは、この男性ホルモンが毛包のアンドロゲン受容体に結合するのをブロックしたり、男性ホルモンの生成を抑制したりする働きがあると考えられています。これにより、男性ホルモンの影響による薄毛の進行を抑える効果が期待されるのです。特に、男性ホルモンの影響が比較的大きいとされるFAGAタイプの薄毛に対して、スピロノラクトンが有効な場合があります。ただし、スピロノラクトンによる薄毛治療は、日本では保険適用外の自由診療となります。また、全ての女性の薄毛に効果があるわけではなく、その適応は医師による慎重な判断が必要です。まずは、スピロノラクトンがどのような薬で、なぜ女性の薄毛治療に用いられるのか、その基本的な知識を理解しておくことが大切です。
- 食生活から始める髪の未来予防策
- ホルモンバランスと女性の髪の関係