ミノキシジルには、外用薬（塗り薬）だけでなく、内服薬（飲み薬）も存在します。ただし、日本ではミノキシジル内服薬は薄毛治療薬として承認されておらず、主に降圧剤として処方される、あるいは一部のクリニックでＡＧＡ治療目的として自由診療で処方されるケースがあります。このミノキシジル内服薬と妊娠の関係については、外用薬以上に極めて慎重な注意が必要です。結論として、妊娠中、妊娠の可能性がある、あるいは授乳中の女性がミノキシジル内服薬を服用することは、絶対に避けなければなりません。ミノキシジル内服薬は、外用薬よりも有効成分が直接的に血中に取り込まれ、全身に作用します。そのため、胎児や乳児への影響もより大きくなるリスクが考えられます。ミノキシジルの添付文書（降圧剤として承認されているもの）にも、妊娠中の投与に関する安全性が確立していないこと、動物実験で胎児への影響が報告されていることなどが記載されており、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと、とされています。また、母乳中へ移行することも報告されているため、授乳中の服用も避けるべきとされています。内服薬は、血管拡張作用による血圧低下を引き起こしやすく、母体の循環動態に影響を与える可能性があります。これが胎児への血流などにどう影響するか、予測できないリスクがあります。また、胎児の発育そのものに直接的な悪影響を及ぼす可能性も否定できません。自由診療で薄毛治療目的としてミノキシジル内服薬を服用している女性も、妊娠を希望する場合や妊娠が判明した場合は、直ちに服用を中止し、処方を受けている医師、そして産婦人科医に必ず相談してください。自己判断での服用継続は、母体と胎児にとって非常に危険な行為です。ミノキシジル内服薬は、その効果に期待する声もありますが、特に女性、とりわけ妊娠に関わる時期においては、そのリスクを十分に理解し、安易な使用は厳に慎むべき薬剤であると言えます。安全性が最優先されるべき妊娠期間においては、使用は絶対に避けてください。