男性で、分け目やつむじ周りの地肌が以前より目立つようになったと感じる場合、それは「男性型脱毛症(AGA)」が進行しているサインかもしれません。AGAは成人男性に最も多く見られる脱毛症であり、特定のパターンで薄毛が進行していくのが特徴です。そのパターンの一つとして、頭頂部から薄くなるタイプがあり、これが分け目の薄毛として認識されることが多いのです。AGAは、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)が、毛根にある受容体と結合することで引き起こされます。DHTの影響を受けた毛包は、髪の成長期が短縮され、髪が細く短い軟毛へと変化していきます。この軟毛化が、AGAによる薄毛の正体です。そして、このDHTの影響を特に受けやすいのが、前頭部(生え際)と頭頂部の毛包なのです。そのため、AGAの典型的なパターンとして、生え際が後退するM字型と並んで、頭頂部が円状に薄くなるO字型が挙げられます。頭頂部やつむじ周辺の髪が細くなり、密度が低下していくため、髪をかき分けた時の「分け目」部分の地肌が、以前よりも広く、そしてくっきりと見えるようになるのです。人によっては、頭頂部の薄毛が進行し、分け目とつむじが繋がって見えるような状態になることもあります。自分の分け目がAGAによるものかを見極めるポイントとしては、まず「分け目周辺の髪質の変化」に注目しましょう。他の部分(側頭部や後頭部)の髪と比べて、分け目周辺の髪が明らかに細く、弱々しくなっていませんか?また、「抜け毛の質」も確認しましょう。細く短い毛が抜け毛の中に増えていませんか?さらに、「進行性であるか」も重要です。一時的な抜け毛ではなく、数ヶ月、数年という単位で、徐々に分け目が目立つようになってきていませんか?もし、これらの特徴に当てはまるようであれば、AGAの可能性が高いと考えられます。AGAは進行性のため、放置すれば薄毛はさらに広がっていきます。しかし、早期に治療を開始すれば、進行を抑制したり、改善したりすることが可能です。分け目の変化が気になり始めたら、自己判断せずに、早めに皮膚科やAGA専門クリニックを受診し、医師の診断を仰ぐことを強くお勧めします。
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