ふと鏡を見たとき、いつも同じ場所にある分け目が、以前よりもくっきりと目立つように感じたり、地肌が透けて見えやすくなったと感じたりすることはありませんか。「もしかして、分け目からはげているのでは?」と不安になる方もいるでしょう。分け目が目立つ原因は一つではなく、いくつかの可能性が考えられます。まず考えられるのは、単なる「髪の生え癖」や「つむじの位置」によるものです。長年同じ分け目にしていると、その部分の髪が自然とその方向に流れるようになり、分け目が固定化され、目立ちやすくなることがあります。また、つむじが分け目の近くにある場合も、毛流れの関係で地肌が見えやすくなることがあります。この場合は、必ずしも薄毛が進行しているわけではありません。次に、「髪質の変化」が原因である可能性です。加齢やダメージ、栄養不足などによって、髪の毛一本一本が細くなったり、ハリやコシが失われたりすると、髪全体のボリュームがダウンし、分け目部分の地肌が透けて見えやすくなります。髪が細くなると、同じ本数でも密度が低く見えるため、薄くなったように感じられるのです。また、「頭皮環境の悪化」も影響します。頭皮が乾燥していたり、逆に皮脂が過剰だったり、血行が悪かったりすると、健康な髪が育ちにくくなり、髪が細くなったり抜け毛が増えたりして、分け目が目立つ原因となることがあります。そして、最も注意が必要なのが、「薄毛(脱毛症)の初期症状」である可能性です。特に、頭頂部を中心に薄毛が進行するタイプの脱毛症、例えば男性の場合は男性型脱毛症(AGA)、女性の場合は女性男性型脱毛症(FAGA)やびまん性脱毛症などが考えられます。これらの脱毛症では、分け目周辺の髪が細く短くなり(軟毛化)、密度が低下することで、分け目が広がったように見えることがあります。自分の分け目が目立つ原因がどれに当てはまるのか、あるいは複数の要因が絡んでいるのかを見極めることが、適切な対策を考えるための第一歩となります。髪質や頭皮の状態、そして過去との比較などを通じて、原因を探ってみましょう。