毎日同じ位置で髪をきつく結んでいる、いつも同じ分け目で髪を引っ張るようなスタイリングをしている。そんな習慣がある方は、「牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)」に注意が必要です。これは、髪の毛が物理的に引っ張られる力が長期間にわたって毛根にかかり続けることで、その部分の髪が抜けたり、生えにくくなったりする脱毛症です。男性型脱毛症(AGA)や円形脱毛症とは異なり、その原因がはっきりしているのが特徴です。牽引性脱毛症が起こりやすいのは、ポニーテール、お団子ヘア、編み込み、ドレッドヘアなど、髪を強く引っ張る必要がある髪型を日常的に続けている人です。また、いつも同じ場所で髪を分けている場合、分け目の部分の毛根に負担がかかり、そこだけ薄くなってしまうこともあります。ヘアアイロンやエクステンションなども、使い方によっては毛根に負担をかける原因となり得ます。症状としては、髪を引っ張っている部分、例えばポニーテールの生え際や分け目、こめかみのあたりなどの毛が細くなったり、抜け毛が増えたり、産毛のようになってしまったりします。初期の段階では、髪型の変更や原因となる習慣をやめることで改善することが多いですが、長期間にわたって強い牽引力がかかり続けると、毛根がダメージを受け、髪が生えてこなくなる可能性もあります。また、脱毛部分にかゆみや痛み、毛穴の周りに小さなブツブツ(毛嚢炎)ができることもあります。牽引性脱毛症の対策は、原因を取り除くことが最も重要です。まずは、髪を強く引っ張る髪型を避け、毛根に負担のかからない髪型に変えることが第一です。髪を結ぶ場合でも、緩めに結んだり、結ぶ位置を毎日変えたりするなどの工夫をしましょう。分け目も時々変えるように心がけます。ヘアアイロンの使用頻度を減らしたり、エクステンションを外したりすることも有効です。もし、すでに脱毛が進行してしまっている場合でも、原因を取り除けば、多くの場合、時間はかかりますが毛髪は回復していきます。ただし、毛根へのダメージが大きい場合は、回復が難しいこともあります。予防としては、日頃から髪や頭皮に負担をかけない髪型を心がけることが大切です。もし、髪型が原因と思われる抜け毛や薄毛に気づいたら、早めに髪型を変えるなどの対策をとりましょう。
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