ジヒドロテストステロン（DHT）を直接抑えるのは医薬品の役割ですが、生活習慣がDHTの量や感受性に間接的な影響を与える可能性もあります。つまり、生活習慣の見直しはDHTの影響をコントロールし、AGA対策をサポートする手段となり得るのです。例えば「睡眠」です。睡眠不足や質の低い睡眠は、ホルモンバランスの乱れを引き起こす可能性があります。テストステロンの分泌リズムにも影響を与え、結果的にＤＨＴの生成バランスにも変化が生じるかもしれません。また、睡眠中に分泌される成長ホルモンは毛髪の成長に不可欠であり、睡眠不足は髪の健康そのものを損なう可能性があります。質の高い睡眠を十分にとることは、ホルモンバランスを整え、健やかな髪を育む基本です。「食事」も関連します。前述の通り、特定の食品でＤＨＴを直接抑えるのは難しいですが、栄養バランスの偏りはホルモンバランスに影響を与えかねません。特に、脂肪分の多い食事や血糖値を急上昇させる食事は、ホルモン環境に影響を与える可能性が指摘されています。タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂取し、健康的な食生活を送ることは、体全体のホルモンバランスを整える上でも重要です。「ストレス」も無視できません。過度なストレスは、自律神経のバランスを乱し、血行不良を引き起こすだけでなく、ストレスホルモン（コルチゾールなど）の分泌を促します。このストレスホルモンが、男性ホルモンのバランスに影響を与えたり、毛包の感受性を変化させたりする可能性も考えられます。ストレスを溜め込まず、適度な運動や趣味などで上手に発散することが大切です。「運動」は、ストレス解消や血行促進に役立ちます。ただし、過度な筋力トレーニングがテストステロン値を一時的に上昇させ、結果的にＤＨＴレベルにも影響する可能性を指摘する声もありますが、通常の健康維持のための運動であれば、むしろプラスの効果の方が大きいと考えられます。これらの生活習慣の改善が、直接的にＤＨＴレベルを大幅に下げたり、ＡＧＡを治癒させたりするわけではありません。ホルモンバランスを整え、頭皮や体の健康を保つことは、DHTの影響を受けにくい体質づくりやAGA治療薬の効果向上に間接的に役立つ可能性があります。薬物療法とあわせて生活習慣の見直しに取り組むことが、効果的なAGA対策につながります。